声優の大塚明夫さんがとっても大事なことを言っている!

声優の大塚明夫さんが言ってるので、これまで何度か「声優になる」ということを記事にしましたが、また書きます。

声優という将来を考えているのならこれは絶対に参考にしなければならない「マジな話」が満載です。年末年始にこんなリアルガチな話があの大塚明夫さんから出たのです!諸君、必読!

 

今声優を目指している人へ
まず大塚さんのお話は今日現在(2020年1月5日)東洋経済ONLINEに掲載されています。それは是非「熟読」されることをオススメします。

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後ほどリンク貼ります

 

声優のギャラは15,000円からスタート

図らずも大塚さんのおっしゃっていることは私が以前このブログに書いたことを裏書きすることになりました。まあ私自身が声優として体験したことを書いたのだからガチです。当然といえば当然なのですが。

今読んでいる人の多くは将来声優になりたい若者だと思いますが、今回は幸運なことにプロデビューできた後のギャラの話を先にいたします。

声優デビューからランカーまで

大塚さんの記事から付け加えます。最初のデビューから3年間は「ジュニア」と呼ばれるランクになります。これはいわゆる新人養成期間という扱いで、デビューから3年間はどんな声優でも「ジュニア」です。

 

そして3年が過ぎると「ランカー」と呼ばれるポジションになります。ランカーになると自分のランキングに合わせてギャラが変動することになります。

 

最初はランク15。出演作品30分に対して1万5000円(ジュニアと一緒ですが)からスタート。このランク15を始点に、ランク16(1万6000円)→ランク17(1万7000円)→ランク18(1万8000円)……というように1000円単位でギャラが上がっていくことになります。

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ちょい待ち。もちろん事務所手数料が取られます。

 

15000円は自分で総取り出来るものではないんです。そこから事務所が経費を差し引きます。経費は事務所によってまちまちですが、だいたい最初のギャラは8000円〜10000円あたりになるでしょう。

 

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もしあなたが超ラッキーなことに声優になって「ジュニア」の期間を過ごしたあと、スグに主役をもらいました。良かったですね〜するとお金はどうなるでしょう?

 

どんだけ平等なんだ!

30分アニメ1クール(12回分)の主役に指名されたとしても、ギャランティーは1万5000円×12で合計18万円です。一緒なんです。

あああ、3ヶ月で18万か〜…

はい、そこはすごい民主的?なんです。みんな平等、十円玉のウラ、平等院鳳凰堂なんです。

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主役でも端役でもガヤでもなんでも同じなんです。ですから、アニメ一本30分のギャラは、セリフが多かろうが、一言だろうが、同じギャラなんです。

 

極端な仮定をしますが…例えばアニメ30分で

主役:30分喋りっぱなし(8000文字:台詞超絶多し)

端役:へーそうなんだ〜 (8文字:長音記号含む)

なんてアニメがあったとしましょう!

これが「同じギャラ」なんです!

なんという平等院!

仏か、あんたは!?

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ちな:

仏の救済が、金持ちでも貧乏でも、世俗の位に関係なく平等に(太陽の光のように)ふりそそぐから「平等」院と言います。だからアニメの現場も平等なんだ〜!ってアニメ界に仏教徒が多いなんて聞いたこともないぞよ(笑)

大塚さんの金言を引用させて頂きます!

「声優のギャラは「発声量」には比例しない」

転用料の発生


そしてもう一つ情報をプラス!これはちょっといい話ですが、もしその作品が二次利用されると「転用料」が発生します。テレビ/DVD/ネットと、もし3チャネルにわたって展開されれば、金額がだいたい2.4倍ぐらいなります。やったー!(まだハッキリと確定されてない部分もありますが)

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テレビ・DVD・ネット番組

 

本当にネットが出来て良かったですね〜ビデオ、DVD、時て、ついに新たな「転用料」の発生源が出現したのです。バンザイ!ビバ、ネット番組ですよ〜

さて、だとすると「ランク15」の声優でも大体43万円!ということになります。デビューから3年が過ぎ、ランカーになれたとして最初にもらえる仕事が「転用」されたら43万くらいに!(もちろん事務所手数料がそこから引かれますが)

 

大塚さん曰く
「なんだ意外ともらってるじゃねえか」と思われるかもしれませんが、3カ月みっちりやってこれです。主役級の人ですら、これだけでは食っていけないことがわかってもらえるでしょう。

東洋経済ONLINE 2020/01/04

 

「なんだ意外ともらってるじゃねえか」(←このセリフは是非、大塚明夫さんの声で脳内再生してください。

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プラス、、、そこから事務所が必要経費を差し引いた分があなたの取り分です。プラスじゃなくてマイナスですが。何度も言ってすいませんが、その額を全部もらえることはないんです。まあほぼないでしょう。無いもんだと覚悟しておいてください。

 

まとめます

超ラッキーだったとして、3ヶ月で(約43万円)ー(事務所の手数料)= 20万円代後半〜30万前半ぐらいじゃないでしょうか?各事務所の手数料が違いますのでさらに少ない可能性もありますが。これ3ヶ月分です。

あなた都内で 3ヶ月30万で暮らしていけますか?

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都内も場所によるでしょうけど、、、

 

絶対不可能じゃないとは思いますので、お、そうだ!この極限サバイバル生活を逆手にyoutubeにアップしていくという可能性もあるぞ!と思いついたあなた。いいアイデアですが、それは「事務所が許せば!」です。(多分)

 

私は自由独立系のナレーター・声優ですので、勝手にこんなことを書いてますが、普通の声優さんは書かないでしょ?所属事務所さんも気を使っています。ですから大塚明夫さんが、せっかくの機会だからと、声優の現状を語ってくれたのは(金銭面もぶっちゃけて話してくれたことは)すんごいレアなケースなのです。

ランカーのギャラは自己申告制

よーし、じゃあランクを自分であげるにはどうしたらいいんだろう?と考えますよね?素晴らしい!なかなか積極的な発想ですね。

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実はこのランクの設定は「自己申告制」です。自分で決めていいんです。ですが、所属事務所のマネージャーなどの判断も加わってきますので実際は「勝手に」高いランクにすることは事実上不可能でしょう。

 

いいんですよ「自己申告制」なのですから。でもギャラが高い声優に仕事は来ないんです。それを決めるのはあくまで制作サイドです。ギャラが高くてもどうしてもこの声が使いたいなら使ってくれます。←レアなケースです

勝手にランクをあげるのは自由ですが、お仕事来なくなります。

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それが分かってるからマネージャーさんは「今の君だとこのくらいのランクにしておくのが無難だろう」と判断してあなたのランクを考えてくれます。ベテランの声優でも仕事を取るためにわざとランクを低くしている人もいるんです。

 

ランク15(15,000円)から始まるランカーのギャランティーのランキングは、最高45,000円ほどになります。

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声優のギャラを自由に妄想しる

もし一本4万5千円の最高ランカーになったとして、ワンクール30分のアニメの声を入れた場合〜もちろんこれは仮の話:取らぬ狸の皮算用ですが〜さっきの式に当てはめると

45,000x12本=540,000

そんで、テレビ・DVD・ネット番組に転用されたら

540,000 x 2.4= 1,296,000

という金額になります。130万円ー事務所の手数料=〇〇〇万円(←ご想像にお任せします)ですが、3ヶ月でこれは嬉しい金額ですね〜。

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ちなみに、最高ランクのさらに上があって、それはフリーランク制の声優という存在です。つまり一本ごとに値段の交渉をするのです。このランキング声優は自分でおおっぴらに公表してないと思いますが、数はものすごく少ないはずです。タレントや歌手が何かの要請があって声優をする際この制度を使います。

 

しかし、どんなランキングになろうともこれからの将来、あなたにこのギャラが入ってくる保証は無いのです。全くないのです。

 

わざわざ大塚さんが東洋経済の記事を通じてギャラの話をしてくださっている理由は突き詰めればこういうことです。「金を求めてこの業界に入ってもそんなもんないよ」

 

大塚さんの文章を読んでくださいね!

まずは引用させて頂きます。

「声優になった」からといって、声の仕事が自動的に、毎月のお給料のように舞い込んでくるわけではありません。

 東洋経済ONLINE 2019/12/30 

 

つまり「声優」になれたからといって、ずっと声の仕事が来る保証はないのです。

 

それでも声優になりたい!

そのお気持ちは分かります。私だってそうだったのです。あなたに声優になるな!という資格は私にはありません。

 

ただもし私の子供が声優になりたい!と言い出したら、「何か他に食うための保険を見つけなさい」とアドバイスするでしょう。たまたまうちの子供は誰も声優になりたいと言いませんでしたが…

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声優になりたい多くの若者たちが今年もたくさん声優学校」に入学することでしょう。今あなたが入学願書を取り寄せているその人なのかも知れませんね。

 

ちょっとプロセスをざっくりと列挙してみましょう

 

 

声優学校入学

養成所

声優プロダクションに所属(プロ)

ジュニア

ランカー

(フリーランク制)

 

こんな想像をしていませんか?

最初は小さな仕事しかもらえないかも知れないけど、だんだん大きな仕事をもらって、最後には声優だけで食えるようになるはずだ!と

そしてこの冬、あなたが取り寄せた声優学校のパンフレットにまことしやかにこの学校を卒業したら声優への道が開けるかが画像付きで描かれていませんか?

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大塚明夫さんがおっしゃってることは「その保証はない」ということです。斯界のベテランがおっしゃってることをあえて私がここでもう一回言っているのは、私もそういう者の一人だったからです。

しかし

声優になるというをまるでどこかの会社に就職するように捉えてる人が多い(←大塚さんのご指摘)

 

 

 

ということです。お分かりですか?大塚さんが指摘されるということは、すでにプロになっている若手・新人の方にもその発想されている人が多いということです。

だとしたら、声優になりたいな〜声優学校に行こうかな?親になんて言おうかな?と漠然と考えているあなたがそう考えるのも無理はありません。

最初は小さな仕事しかもらえないかも知れないけど、だんだん食えるようになるはずだ!と

しかし、その保証はありません!

夢やぶれて、失望し、声優という世界から去ってしまう人が多いのです。あなたが取り寄せた声優学校のパンフレットに夢一杯にそんな夢へのプロセスが描いてませんか?

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夢をつかめ!とかいうキャッチフレーズと共に

そんな保証はないんです。

まだまだお話はいっぱいあるんですが、

この辺でぜひ大塚明夫さんご本人の文章を読んでください。

大塚明夫「声優の大多数が仕事にあぶれる理由」

300の椅子を1万人以上が奪い合っている

https://toyokeizai.net/articles/-/321702

そしてこちらが第二弾

声優に憧れる人が知らない「厳しい収入事情」

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200104-00321704-toyo-soci&p=1

最終的に声優になるのか?どうすのか?決めるのはあなたです。でもいずれにせよ大塚明夫さんのこの文章はぜひ読んでおくべきです。

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私もこれまで色々書きました

https://www.1103kyoya.com/entry/2019/04/28/235825

www.1103kyoya.com

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木村匡也