【追悼よのひかりさん】

【追悼よのひかりさん】

ナレーター、声優の「よのひかり」さんが
お亡くなりになりました。
私も「よのさん」のフェイスブックで、
ご家族の方の書き込みを見て
知りましたので
本当に驚きショックを
受けております。
ご家族の皆様の悲しみを思いますと
本当に…私などは言葉がありません。
悲しいです。

【フリーでも必要とされた声】

とはいえ「ただ残念です」という
言葉では表現できない、
ある種の感情を持っております。
恐らくこれは同業者でもあり、
同じ立場だった者じゃないと
分からないのでは?と思い、
一介のナレーターが大変恐縮ですが、
一言申し上げさせていただきたいと思います。
日本中の皆さん、
そしてよのひかりさんの声のファン
だった皆様に是非
ご留意してもらいたいことがあるのです。
それは、
よのさんが【フリー】で
活躍していたということです。
事務所に所属せずフリーで
一本立ちしていたということです。
フリーで生きていくということは、
この世界においても非常に厳しい
立場で生きることを意味します。
「声」業界では、ナレーターも声優も
女性が多いです。
そういう意味では、我々男性声より
状況はさらにシビアだったはずです。

【高度なナレーション技術と営業力】

しかし、よのひかりさんは、
そのディスアドバンテージを跳ね返して、
「グッディ」などのレギュラーを
ゲットしたのです。
ゴールデン番組にも進出していたのです。
これから絶対にもっと増えていったと思います。
本当にこれからの人でした。
よのさんは、事務所に所属
されていた時期もあったと
聞いております。
でも事務所にいても
「仕事が来ない声優やナレーター」
はゴマンといるのです。
だからイヤだけど、
なりたくないけど、
怖いけど、
このまま事務所にいても、
もうどうなるのか分か
らなくなって、清水の舞台
から飛び降りる覚悟で
フリーになるのです。
もちろんフリーになったら
状況はさらに悪くなります。
何も保証もありません。
震えるほど怖い世界です。

【努力家+七色の声】

それでも彼女は、
あちこちのワークショップに参加し、
技術を磨き、
必死にボイスサンプルを作り、
ものすごくお金をかけてホームページを作り、
自分をセールスしたのです。
そのご褒美が、ようやく決まった
レギュラー番組だったのです。
お願いです。彼女のホームページに
アクセスしてトップにある
ボイス・サンプルを聞いてみて下さい。
ものすごくうまいですから。
いろんなキャラの
声を演じ分けていますから。
彼女の最高の魅力だった
アダルトな低音の女性ボイスも
ふんだんに散りばめられていますから。
モノマネもすごい上手ですから。
ご苦労もいっぱいあったことでしょう。
でも涙を見せずに頑張っていたのです。
このボイスサンプルと不屈の営業力で、
彼女はレギュラーを勝ち取ったのです。
やっと、、、レギュラーが増えて、
これからだったんですよ。
なのに
なんでこんなに早く
天国にお呼びしたんですか?
神様、ひでぇーじゃないですか。
よのさんはナレーターとして本当にこれからでした。
故来宮良子先生、杉本るみ姐くらいの
大御所ナレーターになれる逸材でした。
今、ヤフーニュースの
アクセスランキング(エンタメ)で
1位と2位がよのひかりさんのニュースです。
生きているときにこうなるべき人でした。
重ねてお願いです。
よのひかりさんのHPを開いて
ボイスサンプルを聞いてみて下さい。
本当に、本当に、お上手なのが
お判りいただけると思います。
ここまでの偉業を彼女は一人で、
フリーランスで成し遂げたのです。
もし私がそう言えば彼女は
「いえ、みなさんのご協力の
おかげでレギュラーをゲット
できました」というはずです。
違います。
よのさんが凄かったからここまでできたのです。

【よのひかり:世の光】

ご苦労もいっぱいあったはずです。
でも私たちの前ではあの素敵な
笑顔しか見せませんでした。
どうか皆様、
よのひかりさんは「フリー」で
ここまで登り詰めた、
スゴイ人だったということを、
ご記憶の中にとどめて
いただければ幸いです。
そしてよのさんの残した足跡は、
まだ今からでも
声で生きていけるだろうか?と
悩んでいるあなたに
必ずやひかりを投げかけると思います。
厳しい世界ですが、
実際に、一人でここまでやった
女性フリーナレーターがいたのですから。
こんなことを
家族でもないお前がいうんじゃないと
怒られそうですが、
我々フリーじゃないと
この感情は理解してもらえないと思います。
お叱りを覚悟で、差し出がましくも
一言申し上げさせていただきました。
よのひかりさんは、スゴいナレーターです。
是非ボイスサンプルを聞いて下さいませ。
木村匡也