障害者45人死傷の被告に障害者の父であるRKBの記者が面会を重ねていた

この記事は以前別のブログで掲載しましたが、この度神戸金史記者が制作したラジオ番組が「放送文化基金賞」を受賞しました。受賞したラジオ番組 『SCRATCH 差別と平成』
は再度TBSラジオで放送されます。

TBSラジオでは7月7日(日)20時から放送されます。(RKBでは再放送済み)

またRSK山陽放送が14日(日)18時から放送する予定です。

こちらはRKB毎日放送公式chに上がっているSCRATCH 差別と平成 ダイジェスト映像です。

https://www.youtube.com/watch?v=vigU3NtCTOE

 

この事件を風化させないため、また植松被告に面会を重ね、このむごたらしい事件の裏にある社会的風潮に警鐘を鳴らす神戸記者の活動を広く知っていただきたいため、この記事を再編集し、ここに再掲載いたします。

 

(注意)

非常に残忍な殺害事件を扱った記事です。内容には凄惨な現場を描写している部分が含まれています。ご留意の上でお読みください。

 

 

 

3年前2016年(平成28年)7月26日未明、神奈川県の知的障害者福祉施設「津久井やまゆり園」に、元職員の男が侵入し、入所者19人を殺害。27人に重軽傷を負わせた事件があった。日本中に衝撃を与えた。いわゆる相模原「連続障害者殺傷事件」である。

 

 

福祉施設の元職員だった植松聖(うえまつさとし)被告が、夜間ガラスを破って侵入。次々と入所者を殺害

 

 

障害者ばかりを次々と19人殺害。(重軽傷27)その残忍な犯行は日本中に衝撃を与えた。まだご記憶の方も多いと思う。

 

 

 

殺害された人の数は戦後最多であり、殺された人はみな無抵抗な障害者ばかりであったという、実にむごたらしい事件である。しかし、、、

 

 

 

「殺害したことは間違っていない。ただやり方が違っていただけだ」と植松被告は主張する

 

 

 

 

しかし、犯行におよんだ植松聖被告は、今だに「あの殺害は正当である」と主張しており、障害者や認知症の人など、意思疎通が取れない人いなくなるべきだという主張を繰り返している。

 

 

 

そんな植松聖被告に、重度の障害があるお子さんを持つRKB毎日放送の記者が面会を重ねていた!

 

 

 

 

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この植松被告に、私の知り合いの記者が面会を重ねていた。神戸金史(かんべ・かねぶみ)さん、福岡RKB毎日放送の記者だ。

 

 

 

彼には重度の障害があるお子さんがいる。

 

 

 

そんな障害者の父である神戸さんが、「障害者は殺害してもいい」、という考え方を持つ被告に真っ正面から向き合っているのである。

 

 

 

神戸さんはとてもおだやかな人であるが、この記者魂には粛然たる思いがする。

 

 

 

 

神戸記者が警鐘を鳴らすもの

 

 

なぜこの若者(植松聖被告)はそんな考え方を持つに至ったのか?そして神戸さんは、もしかしたら自分の子どもも殺害対象としてい見ているかも知れない男に会いに行ったのか?

 

 

彼は障害者施設の職員であった。幼少期はいじめられている猫をかばう優しい子供であったという。しかし高校時代には暴力事件を起こし学校を転校。大学時には体に刺青を入れ、薬物に手を出したりしていたという。その反面、教職課程をとり母校の小学校に教育実習まで行っていたという。道をあやまりながらも「教師」も目指していたはずの青年が、無抵抗の障害者19人を殺害、重軽傷者は27人、という大量殺人事件を引き起こし、ばかりか、その殺害は間違っていないと主張している…

 

 

神戸記者は、植松被告個人の考えもそうだが、植松被告のような考え方を産んだ社会の価値観に問いを投げかける。

 

 

社会の中にある、役に立たない者は排除せよ、という考え

 

 

役に立つ人と立たない人との間に「線引き」をし、役に立たない人を排除してしまう(実際に殺害する)風潮、、、

 

 

 

私たちは誰しも何らかの優越感を持っており、何らかの差別心のようなものを持っている(決してみんなキレイな心の人ばかりと神戸記者は言わない)

 

 

しかしそれをむき出しにして、何の思慮もなく社会に適応すれば、、、社会的な弱者は抹殺されてしまう。そんな社会でいいのか?

 

 

神戸さんはそう警鐘を鳴らしている。

 

 

 

植松被告は言う。障害者は社会の役に立たない。医療費もかかるし、介護の人も心身ともに疲れている。だから「殺すべきだ」と、、、、

 

 

その考えの浅さを神戸記者は指摘する。

障害をもつ人は世の中に必要ない?殺しすべきだと?

 

 

 

だが、我々は皆老いていき、

いつか必ず「障害をもつ人」になる身ではないか?

 

 

であれば、この世は

 

「今、障害を持ってる人」と

「将来、障害をもつであろう人」

この2種類しかいないのだ。

 

 

 

社会を良くしてやってる、などという植松被告の思慮の浅さを指摘している。

 

 

 

 

今回の神戸さんの植松被告との面会は、5月6日夜のニュース23でも取り上げられた。是非、みなさんに知ってもらいたく拙い文章ではあるが神戸さんのことを書かせてもらった。

 

 

ニュース23  期限付きの公開のためリンク切れの可能性あり

 

 

 

 

あの殺害を正当化する植松被告。ヒトラーとは考えが違うが、ヒトラーが障害者を殺害したことは「良いことだった」?

ironna.jp

植松被告は事件を起こし逮捕されるまで、ナチス・ドイツが障害者を殺害していたことを知らなかったという。

 

 

 

植松被告の主張は、かつてナチスが振りかざしていた「優生思想」のようにも聞こえるが、本人はヒトラーとは違うと述べている。ユダヤ人を殺すべきではなかったが、障害者を殺害したことは「良いことだった」と。

 

 

今だに、あの津久井やまゆり園での連続殺人は、「安楽死」というカタチを取れなかったことは反省しているが、殺害自体は悪いことだとは思っていないという。

 

心失者(しんしつしゃ)

 

植松被告は、認知症や知的障害のある人のことを「心失者(しんしつしゃ)」という造語を作って呼んでいる。心を失う者、、、と。

 

 

とても皮肉な言葉だと思うのは私だけだろうか?

 

 

「誰も我が子が可愛いと思うだろうし、自分の子供が心失者(障害者)である人に誰もこんなことは言いたくないと思いますが、、」

と前置きし

逆にお尋ねします、いつまで生かしておくつもりなのでしょうか。

 

 

 

「人間として70年養うためにはどれだけの金と人で物資が奪われているか考え、泥水をすすり飲み死んでいく子供思えば、心失者(しんしつしゃ)の面倒を見ている場合ではありません」

と主張する。

 

 

 

障害を持って生まれて来た子は、将来迷惑をかける(税金を浪費する)だから、子供のうちに安楽死させるべきだ!と

 

 

植松被告は、重い障害(意識がなく意思疎通が取れない障害)のある人を、国や自治体が、税金で介護していることに納得がいかないようだ。そのことに強い憤りを表現している。

 

 

あの連続殺人事件を起こす前には、衆議院議長宛に宛に「障害者450人を殺害できます(それで医療負担を軽減できますよ)」といった内容の手紙を送っている。それで国にメリットがあるのだから、これから起こす大量殺人の罪を軽減して欲しい、とまで言っている。唖然とする他ないが、、、安倍総理にも伝えて欲しいと言っている。

matome.naver.jp

 

 

ちなみにそう言ってる植松被告は一時期、生活保護を受けていたという、、、、

そして今このときも、我々の税金を使って横浜拘置支所で生きているのだが、、、

 

 

本人の中では、それは辻褄が合ってるのか?

 

いつまで生かしておくつもりなのでしょうか?

 

 

社会の役に立たない、税金を浪費している、だから消してしまおう、という判断は誰にもできない。もしできるとしたら「神」のみがなしうることではないか?

 

 

あなたは神なんですか?

 

 

そんなことも神戸記者は問いかける。

 

 

 

いろんな文章を読んでみて思ったのだが、植松被告は、自分は何かとんでもない社会の矛盾に気づいた!と思っており、それに警鐘を鳴らしたいがため事件を起こした、、、というような主張を繰り返している。

 

 

何か特別なことに気づいた!と本人は思っているようだ。

「落し物をしたら届けるでしょう?それと同じですよ」

 

先ほどの衆議院議長宛に送った手紙の障害者の殺害計画も、この考えに基づいて書かれているようだ。

 

 

自分は、障害者を助けているこの社会のシステムに大きな矛盾を発見した。莫大な医療費もかかっている、家族も介護者も疲れている。だから殺すことで解決するのだ、、、

 

 

実は、植松被告は、自分自身のことも、

あまり世の中の役に立ってない人間だと

思っていたようだ。

 

 

しかし、こうして

障害者を減らした(殺害した)ことで

世の中の役に立ったのだ!

と考えているようだ。

 

 

 

また、そのことで自己顕示したいと思っているようだ

今はイラストなどを描いて発表することに専念しているようだ。

 

 

 

いつまで生かしておくつもりなのでしょうか

この言葉に我々は慄然とさせられる。障害者や障害者の家族の心に刃を突きつけるような言葉だ。

 

 

 

障害があってもなくても、親がいかに子どもを可愛いと思っているか?まるで分ってない言葉だ。

 

 

 

何度も植松被告は「自分の子が可愛いのは当然かも知れませんが」と前置きしているが、ただの言葉だ。全く人の感情がこもってない。

 

 

障害の子どもを持つ神戸記者が、植松被告にこう尋ねたとき、、、

私はアッと息を飲んだ。

 

 

うちの子がもし やまゆり園に入所していたとしたら 殺す対象だったということですか?

 

 

息を飲むようなやり取りは、、、ぜひラジオを聞いてください

 

初公判はまだ開かれていないが来年1月開かれる予定だという。

 

 

 

 

 ※ご注意: 

今回の記事は、神戸記者の面会をみた「私木村匡也の感想」です。書かれている内容、引用しているまとめ記事、などは神戸記者の意見、考え、主張、ではありません。

この植松被告と面会を重ねている記者、RKB毎日放送の神戸金史(かんべ・かねぶみ)さんとは数年前ひょんなことから知り合いになった。

取材を受けたり、またこちらもイベントなどを取材してもらったり、そのついでに遊んでもらったり。人当たりのとてもおだやかな優しい方である。もちろんお子さんに重度の障害があるのは知っていたが、その神戸さんが植松被告と面会を重ねていたことに「記者魂」を感じた。

 

 

 

 

神戸さんご自身が詳しく書かれたものはこちらです。是非お読みください。

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