アナウンスも英語も筋トレと一緒だった!
などと言うと、「いや違う!」と全力で否定されそうだが、、、他(ほか)でもない、昔の自分から全力で否定されそうだ。だいたい体力とか運動とかに全く縁がない「超文化系」だったからこういう仕事を始めたのだ。体力があれば人生は違う方向に行っただろう。
しかし、そんな文化系な自分でも、30年以上たって、そう思うようになったんだから、やっぱり実感としてナレーション・アナウンスなど文化系の仕事も、筋トレなどの運動と一緒で、繰り返し続けてる人の方が、サッと出来る技術をキープできる!という側面があるのだな。だから練習・稽古というものは毎日コツコツやる方がいいのだ!
自粛していた分、多少ワザが鈍っている
例えば、板前さんなどが毎日ものすごい魚をさばいていたとして、その人がこの新型コロナのせいでパタッと仕事がなくなったとしよう。自宅待機の状態になったと思ってくれ。20年も30年も毎日刺身を切り続けた腕は、もちろんそう簡単に落ちることはないだろう。
が、しかし!
やはり微妙な感じで腕に鈍(にぶ)るのだ。
刺身がいつものようにスッと切れない!
そして、刺身というのは、包丁の切れ味によって「味」が全然変わるのだ。
もちろんスパッと切れた方が、美味しい刺身になる。
きっと今多くの刺身職人が、、、悲しみのどん底にいることだろう。
それはビフォア・コロナの考え方
我々もそうなのだ。30年近く毎日毎日いろんな番組をやって来ってて、絶好調のときもあったが、中には、うーん、だるいな〜この番組。あんまり面白くないな〜、技術の向上にならんな〜と思うこともあった。しかしそれは言ってみれば、、、、
仕事があるのが当たり前だった、ビフォア・コロナの考え方だったのだ。
現場の緊張感の中で生み出されている技術!
声がさびつかないように自宅で「声出し」はやっているものの、やはり仕事で鍛えた腕というものは(私はノドだが)TVスタジオで声を出してこそ、キープされていたのか…とも思う。現場の独特な緊張感の中であの技術は生み出されていた。それは間違いない。
いかん!〆切が近い!やばい、今日何時までに絶対にこのVTRを仕上げなければ!ワシらは死刑にされる!という緊張感が我々をふるいたたせていたのだ。事実、本当にモノを投げつけてくるような残忍なプロデューサーたちがゴロゴロいた時代であったし、私はそういう現場で育ってきた。
今すでにいくつかのレギュラー番組を再開しているのだが、どこか微妙な点においてまだコロナ前のレベルに追いついてないのでは??という不安が残尿感のように残っている。
残尿感はアンタが歳だからだろう?っていうのは、ほっといてちょうだい。
もちろん、テレビ局のスタッフたちに、「ねえ?大丈夫だった?きちんと声出てる?」と確認はしている。ダメなら遠慮なく言ってね!?と言っている。幸い今の所スタッフからは「ああ、全然大丈夫ですよ」とオッケーもらっているのだが、なーーんか自分としては、まだ納得がいかない気がしてしょうがない。
もうちょっとキレッキレにパキーン!と声が出ていたレベルだったよな?そこに戻れてないような?気がしている。気のせいかな?
まあ、声がパキーン!と出る〜という感覚が普通の人には分からないかも知れないが、絶好調のときはもう、パキーン、パキーン!という感じで、自分の声がVTRのナレーションベースにサク!サク!っとハマっていくのが分かるほどなのだ。
英語も同じ、繰り返しの筋トレだった
驚いたのは英語も同じ筋トレ系の運動だったのだ。自宅にいる時間がたっぷりあるので、YouTubeやアマゾンプライムなどを見ている。ただ漠然と暇つぶしに見るのもイヤなので、できるだけ英語の勉強になるように何らかの英語を耳にするようにしていた。
私の場合は「ある特殊な英語」だ。すると不思議なことに、その「ある特殊な英語」のリスニング力が上がっているのだ!あらー、、、不思議
私はアメリカ留学はしていたので、アメリカ英語にはそう抵抗はないのだが、オーストラリア人が言ってることがさっぱり分からないのだ(笑)オーストラリアでも、テレビ番組とかだったらまあまあ分かるのだが、あの人らの日常会話が全然分からん。ストリートのオージーが言ってることが全くちんぷんかんぷんだった。

シドニーやメルボルンに言ったときは言うに及ばず、ワイナリーを巡ってハンターバレーあたりまで行ったときには、全然分からんので会話がトンチンカンになって爆笑の連続だった。
このコロナ自粛で、せっかくなので、いくつかオーストラリア人やイギリス人の訛りの強い人のVTRを何度か見ていたら、あーら不思議、あの全然分からなかった訛りが聞こえるようになっているのだ!やはり「聴く力」も筋トレと一緒なのだ。

面白いなー。聴くと喋る、ってやはり何かの共通点があるのだな〜と今しみじみ感じている。
だからアナウンスの練習は毎日やりなさい!英語も毎日やりなさい!
なのだ。結論はこれだ!
筋トレやりたい人は筋トレしなさい